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2007年6月28日 (木)

Years of Lead ( 鉛の時代 )

Years of Lead ( 鉛の時代 )

1969年といえば、前年のフランスに続いてイタリアでもアントニオ・ネグリ(Antonio Negri)の唱導するアウトノミア運動等の左翼運動が高揚し、「熱い秋」を迎えた年だった。その12月12日、ミラノのフォンタナ広場にある農業銀行で 時限爆弾が爆発し、死者17人、負傷者80数名の大惨事を引き起こした。この日ローマ他四か所でも爆発があり、事件は「同時多発テロ」だった。これがイタリアで初めての「無差別テロ」で、以後イタリアでは左右の武装組織によるテロが相次ぎ、「鉛の時代」(years of lead , it: anni di piombo)と呼ばれる重苦しい時代に入る。

この時代は1978年5月9日のモロ(Aldo Moro)元首相誘拐殺害事件で頂点を迎える。

1978年3月16日キリスト教民主党総裁で元首相のアルド・モロがローマ北西のコルチナ・ダンペッツォ通りの自宅を護衛車に後を守られて車で出た直後、十字路で横から外交官ナンバーの車が行く手を塞ぎ、モロ元首相の車はこの車と衝突、護衛の車もモロ元首相の車に玉突き衝突した。そこへ別の車から降りた空軍の制服を着た4人の男が銃を乱射、護衛官5人を殺害し、モロ元首相をさらに別な車に押し込んで誘拐した。このとき事件を起こした「赤い旅団」(Red Brigades , Brigate Rosse ;BR))は、何人かの政治犯釈放を要求したが政府はこれに応じず、結局モロ議員は五十数日後に殺害された。そしてこの事件直後、議会は「テロリストとそれを保護する者」を取り締まる「反テロ特措法」を成立させた。正式には「民主的秩序維持法」というこの法律は、危険とみなされた者の予防拘束や、監視や盗聴を合法化し、密告を奨励するもので、この法律そのものがまたイタリア社会に暗い影を落すことになった。

1980年頃まで続いたイタリアの爆弾テロを操っていたのは同国の情報機関とフリーメイソン系秘密結社P-2(Propaganda Due)だとされているが、1990年代に入ると、その背後に NATO/CIAの秘密部隊(False flag operations)が存在していると信じられるようになった。グラディオ(Operation Gladio)である。

敵対者を直接攻撃するのではなく、左翼を装ってテロを起こし、市民の間に恐怖と不安を煽って左翼を危険視させ、社会的な緊張を高めることで、政府が安全保障政策(統制政策)を前面に出しやすくする。国家非常事態を宣言することもできるだろう。それによって左翼運動を圧殺しようというのが「緊張の戦略」(The strategy of tension)だと言うのである。

フォンタナ事件は、イタリア社会に緊張を作り出すために「仕組まれた同時多発テロ」(State-sponsored terrorism)のひとつで、国家(軍や内務省の一部)はこの動きを事前に察知しながら防止の手をうたなかったということだ。事件後、左翼に対する取り締まりは強化され、追い詰められた左翼の過激派はテロ活動で対抗するようになる。


ALBUM DI STATO


9 maggio 1978


BBC Timewatch: Operation Gladio
This 3 part BBC documentary has gained legendary status since it has been cited by virtually every researcher seriously looking into False Flag terror, the "Strategy of Tension", etc.

Part 1: (The Ringmasters)


Part 2: (The Puppeteers)


Part 3: (The Foot Soldiers)



NATO's Secret Army: Operation Gladio and Terrorism in Western Europe (Contemporary Security Studies)
by GANSER DANIELE (Author)


映画 : 『鉛の時代』 (Marianne and Juliane ; Die bleierne Zeit)
(監督 : マルガレーテ・フォン・トロッタ ; Margarethe von Trotta)

ANNI DI PIOMBO: la presa di coscienza della Shoah


映画 : 『夜よ、こんにちは』 (Buongiorno, notte)
(監督 : マルコ・ベロッキオ ; Marco Bellocchio)

Buongiorno Notte Trailer




光の帝国/迷宮の革命 鏡のなかのイタリア - クリティーク叢書 10
●著 ; 伊藤公雄

迷宮のなかの「革命」  
(1)「鉛の時代」を越えて 「赤い旅団」という「物語」   
「鉛の時代」/政治的コミュニケーションとしてのテロリズム/カトリック共産主義/「緊張の戦略」/血の闘争の開始/「運動」の混迷のなかで/「モロ事件」/「敗北」の総括――テロリズムと「運動」  
(2)迷宮のなかの「革命」 U・エーコ(Umberto Eco) ; 『薔薇の名前』(The Name of the Rose)とモロ事件   
事件の開始/解釈の迷宮/モロはモロではない/ジェルンディオ現在/『薔薇の名前』とモロ事件/悪魔払いのための作品/おわりに――二つの「言葉」の間で


モロ事件―テロと国家 (1979年)
レオナルド・シャーシャ 著/千種堅 訳


「人民監獄」から送られてくるモロの悲痛な手紙。「赤い旅団」の相次ぐコミュニケ、
その時、政府与党の首脳は、なぜ沈黙を守ったのか?
党首モロは死んだ。極左グループ「赤い旅団」の大胆な誘拐作戦から、悲惨な死、
葬儀にいたる55日間の全過程を捉える迫真のドキュメント。

誘拐から葬儀まで(事件日誌) 赤い旅団の監獄とは 筋書きは書かれていた?
ゲームの始まり 党首アルド・モロの肖像 日増しに圧力が加わって 旅団の策略
諸君、迅速に解決策を探して下さい イタリア政府は弱者に強く強者に弱い
キリスト教民主党一家の劇的な対立 人民裁判は死刑を持って終わる
モロは湖底に沈んだ(偽りの通告) 親愛なる友よ、特赦のお願いをして下さい
同士13人との交換を(コミュニケ8号) 党が望むなら私は死にます 家族の訴え
闘争の終結は近い モロ訊問の成果は地下運動に提供される モロ議員の遺体
赤い旅団の本質はマフィアに似ている

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